今回は、私にとって非常に印象深かった8歳の女の子、Aちゃんの臨床経過をご紹介します。

Aちゃんは、ご家族のお話では、生まれた直後に右耳が聞こえていないことを医療機関で指摘され、その後約8年間、右耳はほとんど聞こえない状態で過ごしてきたとのことでした。

また初回来院時には、毎日のように怖い夢を見る、首の動きに左右差がある、身体に強い緊張があるといった状態もみられました。

私が今回の治療で最も大切だと感じたこと

この症例について、「イーマサウンドを使ったから聞こえるようになった」ということだけをお伝えしたいわけではありません。

私が一番大切だと考えているのは、

まず、その人の身体に何が起きているのかをできるだけ正確に診ること。

つまり「診断」です。

初診時、Aちゃんの身体を確認すると、首から背骨にかけて非常に大きな左右差がありました。

特に上部頸椎周辺の緊張が強く、首の向きやすさにも左右差があり、身体全体のバランスにも特徴的な偏りがみられました。

脈診や身体の反応なども合わせて確認する中で、私は、

「右耳だけを見るのではなく、首や頭部を含めた身体全体の状態に何らかの関連があるのではないか」

という仮説を立てました。

もちろん、これは医療機関で確定された医学的診断ではなく、あくまでも施術者として身体を評価したうえで立てた仮説です。

しかし、その仮説に基づいて身体を調整した結果、その直後から右耳で音を認識する反応が現れました。

そのため今回の経過は、少なくとも私が立てた仮説と施術方針を考えるうえで、とても重要な手がかりになったと考えています。

「何で治療するか」より、その人に合った刺激、治療法を選ぶ

そして今回、もう一つ非常に大切にしたことがあります。

それは、

Aちゃん自身に、身体へ入れる刺激を選んでもらったことです。

8歳という年齢でもあり、Aちゃんには治療そのものに対する恐怖心がありました。

身体の状態だけを考えれば、鍼など別の方法でアプローチするという選択肢もありました。

しかし、効果を求めるために本人が怖がる治療を無理に行えば、それ自体が新しいストレスになってしまいます。

そこでAちゃんに、どのような刺激なら受けてみたいかを聞きました。

色を使った方法や音を使った方法などについて話をしたところ、Aちゃん自身が、

「音がいい」

と選びました。

そこで今回は、イーマサウンドによる音の刺激を使って身体を調整しました。

私は、治療方法は必ずしも一つである必要はないと考えています。

鍼でも、手技でも、音でも、その人の状態や年齢、感覚、そして何より本人が安心して受けられる方法を選ぶことが大切です

今回Aちゃん自身が「音」を選び、恐怖心をできるだけ持たずに施術を受けられたことも、身体が良い方向へ反応するための一つの要素になったのではないかと考えています。

初回施術後、右耳に反応が現れた

初回の施術は2026年7月11日でした。

施術後、まず首の動きが変化し、施術前には向きづらかった方向へも動かしやすくなりました。

頸部の緊張や痛みにも改善がみられました。

そのうえで右耳の状態を確認しました。

スマートフォンの聴力確認用アプリを使った簡易的な確認ではありますが、施術前には右耳でほとんど反応できなかった音に対して、

「聞こえる」

という反応が現れました。

目の前でみていたお父さんが、お前ほんとか?と聞きなおし本人も「ほんとに聞こえるよ」と言って二人で泣き出してしまいました。私も思わずもらい泣き状態でした。

ただし、スマートフォンのアプリは正式な医療機関の聴力検査ではありません。

そのため、この時点で「正常な聴力に戻った」「難聴が治癒した」と判断することはできません。

1か月後にも右耳の聴取反応は続いていた

2回目の施術は2026年8月7日。

初回から約1か月後です。

再び状態を確認すると、右耳は初診時とは明らかに違い、音に対する反応が続いていました。

アプリによる簡易検査では、左耳と同じように小さな音まで聞き取れるわけではありませんでした。

一方で、音圧を上げると右耳でも音を認識できました。

つまり、

初診時にはほとんど反応が確認できなかった右耳に、1か月後の時点でも明らかな聴取反応が残っていた

ということです。

完全に左右同じ状態ではありません。

それでも、初診時の「ほぼ聞こえない」という状態と比べれば、ご本人、ご家族ともに大きな変化を感じていました。

また、初診時に毎晩のように見ていたという怖い夢(恐怖は腎と関係があり腎と耳は関係があります)も、治療後は見なくなったとのことでした。

今度は医療機関できちんと調べてほしい

ここは今回、とても重要なところです。

お父様にお話を伺うと、Aちゃんは出生直後に右耳が聞こえないと指摘されて以来、約8年間、耳について医療機関で詳しい検査を受けていなかったとのことでした。

そこで今回私は、

「今、右耳で音を感じられるようになっているからこそ、改めて耳鼻咽喉科で正式な聴力検査を受けてください」

とお伝えしました。

何Hzの音を、何dBで聞き取れるのか。

右耳と左耳にどの程度の差があるのか。

それを医療機関できちんと数値として確認することが必要です。

お父様にもそのことをご理解いただき、

「これから病院へ行って調べてもらいます」

というお話になっています。

今後、医療機関でどのような検査結果が出るのか。

その結果も含めて、この症例を客観的に追っていきたいと考えています。

今回の症例で私が一番伝えたいのは、

「この音を使えば難聴が治る」ということではありません。

治療方法そのものより前に、

身体をどう診るか。どこに問題があるのではないかと仮説を立てるか。そして、その人にとって最も受け入れやすい方法で刺激を入れるか。

そこが重要なのではないかと私は考えています。

今回は、身体全体を診たうえで一つの仮説を立て、さらに8歳のAちゃん自身に治療方法を選んでもらいました。

そして音による刺激を選択した結果、施術直後から右耳に聴取反応がみられ、約1か月後にもその反応が続いていました。

これは「原因が証明された」ということではありません。

しかし少なくとも、今回立てた仮説と施術方針を今後さらに検証していく価値のある臨床経過だと考えています。

これから医療機関で正式な聴力検査を受けてもらい、現在の右耳が何Hz・何dBまで聞こえているのかを客観的に確認していく予定です。

その結果も含め、今後も丁寧に経過を追っていきたいと思います。


施術記録

初回施術:2026年7月11日
2回目:2026年8月7日
患者:8歳女児
主訴:右耳の聴力低下、怖い夢、身体の左右差など

※本記事は一症例の経過を紹介するものであり、同様の結果を保証するものではありません。スマートフォンアプリによる確認は簡易的なものであり、医学的な聴力検査ではありません。また、頸部や身体所見と聴力変化との関連については施術者としての仮説を含み、医学的な因果関係が証明されたものではありません。難聴については、耳鼻咽喉科などの医療機関で正式な検査・診断を受けることが重要です。